越後にいきる家をつくる会

豪雪に耐えた粘り強い木

越後で育った木の魅力。新潟の風土が育てた木々は新潟の家に合う

新潟の気象条件は、決して「穏やか」なものではありません。日本屈指の雪国である新潟の風土は、まさに「難儀」の一言に尽きるでしょう。しかし、この「難儀さ」が、強い木を育てるのです。
例えば越後スギは、厳しい気象条件の影響で、吉野などの全国的に有名なスギに比べ、成長速度は2/3という遅さです。成長が遅い木は、それだけ年輪が詰んでいます。年輪の詰み具合は、そのまま木の強さにつながります。
越後の風雪に耐えてきた木は、その性質を読みながら用材として挽かれ、刻まれ、優れた職人の手によって、厳しい気候から人々の暮らしを守り続ける家に生まれ変わることができるのです。

粘り強さとしなやかさ

 新潟で育った木は、雪国の風雪に耐えた粘り強くしなやかな木。しかし雪国ならどこでも良い木が伐れるのかというと、そうではありません。同じ雪国でも、軽い雪質の土地では、強い木は育たないと言われています。
 新潟特有の「湿った」「重い」雪は、木にとって極めて過酷な生育環境を作り出します。この条件では、伐採できる大きさに育つまで、六十年以上かかります。しかし、生まれて60年、重くのしかかる雪と強い風に鍛えられた木だからこそ、他の土地にはない強さとしなやかさを持ち得るのです。
 フシが多く、決して扱い易い木ではありませんが、その強度と耐久性は、まさに折り紙付きです。

丈夫な根曲がり材を使う

 山の斜面に生えた木は、地面に垂直に伸びるわけではなく、空、つまり上に向かって伸びていくため、根に近い部分は自然と湾曲します。この部分が「根曲がり」です。  
 新潟の木は、この「根曲がり」部分に重い雪が積もり、強い負荷がかかります。この力に耐えて成長した木の「根曲がり」は、強い木の中でも、特に丈夫な部位なのです。一方、「根曲がり」部分はクセが強いため加工が難しく、現代の建築では、あまり歓迎されない木材でもあります。
  しかし新潟の大工は、昔からこの「根曲がり」を、建物の「梁」など力学的にみてもふさわしい場所に使って来ました。これはまさに、土地の木を知り適材適所に使う、大工の知恵と技術のなせる業です。
 「根曲がり」の強さと併せ、この知恵と技こそが、新潟の職人の真骨頂です。

「地元の木を使う」それは環境にも優しい選択

 「木を切ると、空気中の二酸化炭素が増える。」
 過度な伐採が続くケースを除き、これは誤った考えです。樹齢60年を超えた木は、若い木と比べ、二酸化炭素の吸収量が格段に落ちると言われています。こうした木を伐採して使い、一方で新しい木を植えて行く。このサイクルを続けることは、むしろ地球温暖化につながる空気中の二酸化炭素削減につながるのです。
 さらに、海外からの輸入材が一般的となっている現在、その輸送にかかるエネルギー・コストなどを考えると、やはり「地元の木を使う」ことは、環境に優しい選択だと言うことができます。
 人間が生きていく限り、100%自然に有利な暮らしをするというのは不可能です。しかし私たちが育て、増やしていくことができる森林は、再生可能な数少ない資源の一つなのです。
 幸い、新潟には60年を経過した森林が豊富にあります。地元の木を活かした家を大切に使い、次の木の成長を待つ。そこには、自然の摂理にも叶った世代を超えた「人と木の共生」の姿があります。

会員が語る

林業業からみた「越後に育った木の魅力」とは東蒲原郡森林組合
長谷川栄一

Photo越後杉は、地元新潟の気候風土の中で何十年、何百年もの歳月をかけて育った杉の木です。
この環境で育った地元の杉を使い、住宅を造れば少なくとも百年持つ住宅となります。新潟の住宅に最も適した越後杉。環境にもやさしい越後杉を使い、快適な家を造って下さい。

木材業からみた「越後に育った木の魅力」とは
(株)マルユー 
代表:森山義一

Photo新潟には樹齢60年以上育った木が豊富にあり、森林備蓄量は全国でもトップクラスと言われています。これらの木は新潟の先人たちが昭和初期に植林してくれた木々です。今こそこれらの木を活かして家を造り、そして60年後の子孫のために植林することが、今を生きている私たちの役割ではないでしょうか。
Photo新潟の木は「ふし」が多いため、木材として好まれない傾向がありますが、強度面ではとても粘り強い木です。健康な木だから多くの枝を張って育つのです。
新潟の木を多く使い、丈夫で永く住める家を造ることは、後世に豊かな自然環境を残すことと同じ意味なのです。

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